赤字工事から撤退できるのか?
資材高騰時の契約対応

近年、建設資材の高騰により「契約時の見積では利益が出ない」「むしろ赤字になる」というケースが増えています。
しかし、すでに締結した契約を理由に、発注者からは「その金額でやるべき」と求められることも少なくありません。
では、資材高騰を理由に契約解除や条件変更は可能なのでしょうか。
ここでは、建設業経営者が押さえるべき法的判断のポイントを整理します。
利益が出ない工事から撤退できるのか?法的判断のポイント
原則:契約は守る必要がある
- ✓契約自由の原則
- → 一度合意した契約内容は原則として履行義務がある
- ✓単なる価格変動では解除できない
- → 「想定より高くなった」だけでは解除理由として弱い
契約変更が認められる可能性
- ▼事情変更の原則(例外)
- → 契約時に予見できない大幅な価格変動
- → 当初の前提が大きく崩れた場合
- ▼契約書に価格スライド条項がある場合
- → 資材価格の変動に応じて請負金額を見直せる
- ▼発注者との合意による変更
- → 実務上は交渉による再契約が最も現実的
契約解除が認められるケース
- ▼履行が著しく困難になった場合
- → 極端な資材高騰で契約履行が現実的でない
- ▼契約書に解除条項がある場合
- → 一定条件下で解除可能な規定があるか確認
- ▼発注者側の協力義務違反
- → 資材調達や工期調整に協力しない場合
よくあるトラブルパターン
- ✓赤字でも無理に施工を続ける
- → 資金繰り悪化・倒産リスク
- ✓一方的な工事停止
- → 債務不履行として損害賠償請求される
- ✓口頭での条件変更合意
- → 後から否認されるリスク
経営者が取るべき実務対応
- 【契約書の事前チェック】
- → 価格変動・解除条項の有無を確認
- 【早期の交渉開始】
- → 赤字が見えた時点で発注者と協議
- 【書面での合意徹底】
- → 条件変更は必ず書面化
- 【証拠の整理】
- → 資材価格の上昇データ・見積根拠を保存
弁護士を活用するメリット
-
◆契約解除の可否を法的に判断
- →無理な解除によるリスクを回避
- →感情的対立を避けつつ条件調整
- →最悪のケースでも被害を抑えられる
◆交渉の代理・サポート
◆損害賠償リスクの最小化
まとめ
資材高騰を理由とした契約解除は、原則として簡単には認められません。
しかし、
- ✓契約条項の内容
- ✓価格変動の程度
- ✓発注者との交渉状況
重要なのは、
▼早期にリスクを把握すること
▼一方的に動かず必ず交渉と書面化を行うこと
です。
建設業では「現場が始まってから」では手遅れになるケースも多いため、契約段階から専門家と連携し、柔軟に対応できる体制を整えることが経営を守る鍵となります。
