「職人いきいき宣言」で経審加点へ|建設業者が知っておきたい制度のポイント

建設業界で働く人の賃上げや処遇改善に積極的な事業者を応援するため、令和7年12月から「職人いきいき宣言」制度が始まっています。
さらに令和8年7月からは、宣言を行った事業者に対して経営事項審査(経審)で加点が行われることとなりました。
公共工事への参加を目指す建設会社にとっては、見逃せない制度といえるでしょう。
本記事では、「職人いきいき宣言」の概要と、建設業経営者が押さえておくべきポイントを解説します。
令和8年7月から「職人いきいき宣言」を行った企業は経営事項審査(経審)で加点されます。
公共工事を受注している企業や、今後入札参加を検討している企業は早めの対応がおすすめです。
職人いきいき宣言とは?
「職人いきいき宣言」とは、建設技能者の処遇改善に積極的に取り組む事業者を応援するための制度です。
国はこの制度を通じて、建設技能者の賃金向上や働きやすい職場環境づくりを促進し、建設業界全体の持続的な発展を目指しています。
宣言企業になるためには、次の2つが必要です。
- 1.処遇改善に関する一定の取り組みを行うことを宣言する
- 2.専用ポータルサイトから申請を行う
【職人いきいき宣言ポータルサイト】
https://jishusengen.mlit.go.jp/
主な取り組み項目
▼ 労務費・材料費等の内訳を明示した見積書の作成
- (対象者)元請事業者・下請事業者
▼ 内訳が明示された見積書の尊重
- (対象者)発注者・元請事業者
▼ 熱中症対策や週休二日制の導入など適切な処遇の確保
- (対象者)元請事業者・下請事業者
▼ 取引先選定時に「宣言企業」であることを考慮
- (対象者)全事業者
制度開始以来、多くの建設事業者が宣言を行っており、処遇改善に向けた取り組みが広がっています。
職人いきいき宣言のメリット
① 経営事項審査(経審)で加点される
公共工事の入札に参加するためには経営事項審査を受ける必要があります。
評価点数が高いほど参加できる案件の幅が広がる可能性があり、経審対策としても注目されています。
② 企業イメージが向上する
宣言企業はシンボルマークを自社ホームページや採用資料等で使用できます。 また、ポータルサイト上で企業名が公表されます。
- ・求職者へのアピール
- ・若手人材の採用強化
- ・定着率向上への期待
人手不足が深刻化する建設業界において、企業イメージの向上は大きなメリットといえるでしょう。
③ 元請・発注者からの評価向上
近年はコンプライアンスや働き方改革への取り組みが取引先選定の重要な判断材料となっています。
「技能者を大切にする会社」 「適正な労務管理を行う会社」 として評価される可能性があります。
重要!絶対に気をつけたい3つの注意点
1.経審で加点されるには「決算日より前」の宣言が必須
経審で加点を受けるためには、「審査基準日(直前の決算日)よりも前」に宣言を申請していることが条件となります。
決算日を過ぎてから申請しても、その回の経審では加点対象にはならないため、必ず自社の決算日を確認して申請を早めにする必要があります。
2.有効期限にはカラクリが。年末より年明けの申請がお得!
宣言の有効期限は、「申請日の翌月を起算日として2年経過後の最初の12月末まで」という複雑なルールになっています。
- ・2026年12月に申請→2029年12月末まで(約3年)
- ・2027年1月に申請→2030年12月末まで(約4年)
このように、申請する月によっては有効期限が最大1年変わってしまうため、年末の申請を考えている場合には、年明けの1月に申請した方が更新の手間が省けてお得になるケースがあります。
3.宣言した内容は「1年以内に全て実行する義務がある」
宣言内容は申請時点で全て実施できている必要はありませんが、設定した「取組開始日」(申請日から1年以内の日)までにすべての取り組みを開始し、1年間を通して実行しなければなりません。
もし実行できなかった場合は、宣言を取り下げる必要が出てくるため、「自社で確実に実行できる項目」を選ぶことが大切です。
宣言後のポイント
▼ 宣言だけで終わらせないこと
- 実際の運用が伴わなければ信用を失うリスクがあります。
▼ 労務管理体制を整備すること
- 就業規則の整備
- 勤怠管理の徹底
- 安全衛生管理の強化
▼ 下請会社との連携も重要
- 処遇改善は自社だけでは完結しません。
- 協力会社を含めた取り組みが求められます。
職人いきいき宣言は「経審加点のためだけの制度」ではありません。
採用力向上・離職防止・元請からの評価向上など、中長期的な企業価値向上にもつながる取り組みです。
まとめ
職人いきいき宣言は、建設技能者の処遇改善を進めるための制度であり、令和8年7月からは経営事項審査での加点も開始されます。
▼ 経審での評価向上
▼ 採用力の強化
▼ 企業イメージの向上
▼ 取引先からの信頼獲得
今後は、単に宣言を行うだけではなく、実際の労務管理や処遇改善の取り組みがより重要になります。
建設業を取り巻く制度は年々変化しているため、不安がある場合は弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談しながら、自社に適した体制整備を進めることが大切です。
